働き方改革の促進や労働力人口の減少を背景に、業務効率化ツールを導入する企業が増えています。人的リソースを節約しつつ、業務効率を高められることが業務効率化ツールの主なメリットです。ただし、種類が多いため、基礎知識なしでは導入を進められません。ここでは、業務効率化ツールの種類や機能、導入メリットを解説します。

 

業務効率化ツールの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

業務効率化ツール 13選|比較・選定ポイントとおすすめ「業務改善ツール」の特徴や活用事例

業務効率化ツールとは

業務効率化ツールとは

 

業務の効率化に役立つITツール全般を、業務効率化ツールもしくは業務改善ツールと呼びます。業務効率化ツールには多様な種類があり、機能や役割はツールによりさまざまです。各種ツールを役割別に分類すると、次の4タイプに分けられます。

 

  • プロジェクト管理やスケジュール管理を効率化するツール
  • 情報共有や共同作業を効率化するツール
  • 手続きやワークフローを効率化するツール
  • バックオフィスの業務を効率化するツール

 

上記のように、業務効率化ツールの役割は多様です。大半のツールの共通点は、クラウド型(インターネット上のアプリケーションを利用する形態)であること。場所を問わず利用できるツールが多く、働き方改革の推進に役立ちます。

業務効率化ツールで実現できること

業務効率化ツールで実現できること

 

業務効率化ツールの導入により実現できることを、ツールのタイプ別に見ていきましょう。

プロジェクト管理・スケジュール管理を効率化

業務の進行管理を効率化するツールには以下のようなものがあります。

 

  • スケジュール管理ツール:社員のスケジュールを一元管理
  • タスク管理ツール:タスクの進捗をツール上で管理
  • プロジェクト管理ツール:ガントチャートなどでプロジェクトの進捗を管理

 

日々のタスクやプロジェクトの進捗、作業の達成状況なども可視化できるようになり、業務進行管理の効率化に役立ちます。

情報共有と共同作業のスピードを向上

社内の情報共有や共同作業を効率化するツールには、次のものが挙げられます。

 

  • チャットツール:チャット(短文の送受信)による簡潔なコミュニケーション
  • オンラインストレージ:複数の相手とデータファイルを共有・共同編集
  • ナレッジマネジメントツール:ツール上にナレッジ(知識・ノウハウ)を蓄積して共有

 

ITツールの利点を活かし、業務のスピードを向上させることが可能です。

各種手続きやワークフローの効率化

業務上の各種手続きやワークフローの効率化に役立つツールには、以下のものがあります。

 

  • ワークフローシステム:ワークフロー(各種申請・承認)をシステム上で完結
  • 電子契約サービス:取引先や顧客との契約・更新手続きをウェブ上で完結

 

取引先や顧客との契約作業、社内の承認フローなどを電子化することで、手続きの手間と時間を削減できます。

バックオフィスの業務を効率化

バックオフィスの業務効率化が図れるツールには、以下のものが挙げられます。

 

●RPA(Robotic Process Automation)

  • 定型作業の自動化(人事・経理・総務など)
  • データ収集や分析

 

●グループウェア

  • 業務効率化(ワークフロー、経費精算、備品管理、スケジュール管理など)
  • コミュニケーション(チャット、社内SNS、在席・離席の確認など)
  • 情報共有(ファイル共有、議事録作成など)

 

●労務管理システム

  • 勤怠管理・給与計算・従業員情報などの各種管理をシステムに集約
  • 従業員データや手続きに必要な帳票を自動作成

業務効率化ツールの導入で得られる効果

業務効率化ツールの導入で得られる効果

 

業務効率化ツールの導入により期待される効果・メリットは、次の3つです。

コスト削減に貢献

IT化が進んでいない企業では、日々の業務に多くの人的リソースを割く必要があります。社員の予定管理や在席確認、稟議書の回付など、日々の細かな作業には人手と時間がかかりがちです。帳票の処理や集計、書類の郵送や保管など、紙にまつわる作業もコストがかかる業務です。

 

業務効率化ツールを活用すれば、最適なリソース配分による生産性向上が期待されるほか、紙の書類に関連するコストを減らすことが可能です。

業務進行のミスを防止

業務効率化ツールによって自動化できる仕事が増えれば、人的ミスの軽減が期待されます。また、プロジェクト管理・スケジュール管理系の業務効率化ツールでは、プロジェクトの進捗や社員のスケジュールを一元管理することが可能なため、日程調整ミスにいち早く気付き、素早く対処できるようになります。

仕事の質・スピードが向上

業務効率化ツールにより情報共有が進むことで、仕事のスピード向上が期待されます。また、ナレッジの獲得が容易になるほか、ツールのなかには専門知識がなくても高度な処理が自動化されているものもあり、仕事の質を高めるうえでも役立ちます。

業務効率化ツールの機能一覧

業務効率化ツールの機能一覧

 

業務効率化ツールの主要機能をツールのタイプ別にまとめました。
 

ツールのタイプ

主要機能と特徴

プロジェクト管理・スケジュール管理を効率化するツール

●プロジェクト管理ツールの機能

・ガントチャートによる工数管理

・タスク管理機能

・期日設定機能

・リマインド機能

●スケジュール管理ツールの機能

・スケジュール表(カレンダー・タイムテーブル)を作成

・社員のスケジュールを共有

・社内設備や備品の予約を管理

情報共有や共同作業を効率化するツール

●チャットツールの機能

・チャットによるコミュニケーション

・グループチャット

●オンラインストレージの機能

・オンラインストレージでファイルを共有

・ファイルの共同編集や同時編集が可能

●ナレッジマネジメントツールの機能

・自社のナレッジ(知識・ノウハウ)をツールに蓄積

手続きやワークフローを効率化するツール

●電子契約サービスの機能

・契約書を作成して共有

・電子署名とタイムスタンプで証拠力を確保

・契約更新をWebで締結

●ワークフローシステムの機能

・承認経路や承認条件を設定

・申請書を作成

・承認依頼を送信

・ワンクリックで申請書を承認

 

バックオフィスの業務を効率化するツール

●RPAの機能

・定型作業のシナリオを設定することで自動化

(伝票やデータの入力、計算の自動化、PDF化、メール送信など)

●グループウェアの機能(バックオフィス向けの機能)

・備品管理

・勤怠管理

・休暇管理

・従業員情報の管理

・経費精算

・交通費精算

・在席確認

※グループウェアにはスケジュール管理やチャットなど多様な機能を備えるものが多い

業務効率化ツールのメリットは多大

業務効率化ツールの導入により、コスト削減とミスの防止、生産性向上を実現できます。働き方改革やテレワークの推進にも業務改善ツールは有効です。ただし、その種類の多さから、ツールの選定は慎重に行わなければなりません。自社の課題を明確化した上で、適切なツールを選定することが肝要です。

 

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