障害者雇用の課題を抱える企業に対して、多角的なサポートを行う障害者雇用支援サービス。さまざまなメリットがあるサービスですが、自社にマッチするものを選び出すことは容易ではありません。ここでは、障害者雇用支援の選定ポイントや利用時の注意点を解説します。

また、導入実績の多い代表的な障害者雇用支援サービスをご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

障害者雇用支援サービスの比較方法・選び方

障害者雇用支援サービスを比較選定する際のポイント

障害者雇用支援サービスを選ぶときのポイント

 

障害者雇用支援サービスの選定ポイントを4点に分けて解説します。

 

■自社の課題を洗い出す

障害者雇用支援サービスの内容は多岐にわたるため、まずは障害者雇用に関する自社の課題と受けたい支援内容を明確にする必要があります。多くの企業が抱える課題には、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 障害者の法定雇用率を達成したい
  • 初めての障害者雇用で何をすればよいかわからない
  • 障害者を受け入れられる部署がない
  • 雇用した障害者がすぐに辞めてしまう

 

上記はいずれも障害者雇用支援サービスで解決できる課題です。自社の課題を明確化したら、サービス選定に進みましょう。

 

■対応地域をチェックする

障害者雇用支援サービスの対応地域はサービスにより異なります。対応地域がマッチしているか、サービス選定の初期段階で必ずチェックしましょう。サービス提供元が同じであっても、支援の種類によって対応地域が異なる場合もあります。導入したいサービスが利用条件に該当するか否かも忘れずチェックしてください。

 

■支援の範囲・内容をチェックする

障害者雇用支援サービスの選定において、重点的にチェックしたいのが支援の範囲と内容です。サービス提供元により支援事業の内容は異なります。支援の範囲・内容が自社の課題にマッチするサービスを選び出しましょう。

 

サービス選定を効率的に進めるには、自社が重点的に借りたいスキルやリソースを決めておくことが肝要です。障害者雇用支援サービスを事業別に分類すると、下記の4つに大別できます。

 

  • コンサルティング(問題点の洗い出し・採用プラン作成など)
  • 職域開拓(業務切り出しのサポート・サテライトオフィスの提供など)
  • 採用支援(人材紹介・採用代行・適性診断など)
  • 定着支援(障害者のサポート・社員や管理者の研修など)

 

取り扱う事業が同じでも、内容はサービスごとに異なります。入念な情報収集を行い、利用候補とするサービスを選定しましょう。

 

■料金体系をチェックする

障害者雇用支援サービスの料金体系は、支援の種類により異なります。たとえば人材紹介を利用する予定なら、完全成功報酬型か否か、報酬のパーセンテージはどのぐらいかなどを確認する必要があります。

 

障害者雇用支援サービスの料金体系およびコストは、Webサイトでは公開されていないケースが大半です。各サービスが用意する問い合わせを活用し、料金の発生タイミングやおおまかな費用感などを比較して、自社で利用しやすいサービスを選ぶことが大切です。

課題・ニーズから選ぶ障害者雇用支援サービスの向き・不向きの傾向

課題・ニーズから選ぶ障害者雇用支援サービスの向き・不向きの傾向

 

障害者雇用支援サービスの選定は自社の要望を踏まえて行うことが肝要です。次の表を参考にして、自社に適するサービスを選定してください。

 

課題・要望

向き・不向きの傾向

自社に障害者を受け入れるスペースがない / なるべく社員への負担が少ない障害者雇用を実現したい

・外部施設(サテライトオフィスや農場など)の提供を行っているサービスを検討するとよい

 

※ただし、外部施設の障害者への指揮命令は自社で行う必要がある

なるべく低コストで利用したい

・NPOや独立行政法人などが運営するサービスも視野に入れる(無料で利用できる場合がある)

 

※ただし、民間のサービスと比べ支援範囲が限定的な場合がある

障害者の健康管理に不安がある / 健康管理面のサポートを受けたい

・障害者の健康相談に対応するサービスが向いている

・障害者宅の看護師派遣に対応するサービスもある

障害者雇用支援サービスの利用時に注意すべき点

障害者雇用支援サービスの利用時に注意すべき点

 

障害者雇用支援サービスを利用する際に注意したいのが、障害者雇用により生じる既存社員への負担です。障害者を雇用すると職場環境が変わる場合もあるほか、受け入れ部署ではサポート業務が必要になります。

 

上記のような変化が社員に与える負担は小さくありません。とくに初めて障害者を雇用する企業や社員数が少ない中小企業では、負担が大きくなりがちです。

 

社内制度の見直しや事前説明、研修などにより、障害者雇用にともなう社員への負担は軽減できます。障害者雇用支援サービスを利用する際は、社員の負担を減らすための施策についても、サービス提供元に相談してみるとよいでしょう。プロのアドバイスを受けることにより、障害者と既存社員の双方が働きやすい環境を作り出せます。

障害者雇用支援サービスを有効活用しよう

障害者雇用支援サービスの選定では、自社の課題を洗い出した上で、適切なサービスを選び出しましょう。まず対応地域のチェックを行い、続いて事業内容を確認することがサービス選定の重要ポイントです。サービスの利用に際しては、社員の負担への配慮も重要です。受け入れ準備や研修などの支援を受けることにより、負担の少ない障害者雇用が可能となります。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。