効率的で精緻な原価管理を可能とする「原価管理システム」。原価計算や差異分析などを効率化できるツールです。シビアなコスト管理が求められる昨今、原価管理をシステム化するメリットは大きくなっています。ここでは、原価管理システムの機能や導入メリット、システム導入により実現できることを解説します。

原価管理システムとは

原価管理システムとは

 

原価管理システム(原価管理ソフト)とは、原価に関するデータの収集や計算、分析を自動化するツールです。複雑になりがちな原価計算や標準原価と実際原価との差異分析、損益分析などの機能を備え、最適な原価管理を実現して事業の収益性向上に貢献します。

 

また、基幹システムと連携することが可能で、データの一元管理による迅速な経営判断を可能にします。

原価管理システムで実現できること

原価管理システムで実現できること

 

原価管理システムで実現できることは、次の5つです。主な機能と合わせて見ていきましょう。

データ収集を効率化

原価管理システムには、原価管理に必要なデータを効率的に収集する機能が備わります。既存のシステムやソフトウェアのデータをインポートして、原価管理に活用することが可能です。

 

  • 過年度の実績データを原価管理に活用
  • 基幹システムやERPからデータをインポート
  • Excelファイルをインポート

原価計算を効率化

原価管理システムに備わる計算機能により、煩雑な原価計算を効率化できます。標準原価の計算はもとより、経理や経営判断に必要な計算を手間なく行えるようになります。

 

  • 実績データから標準原価を算出
  • 原料や部品表などのデータから見積原価を自動計算
  • 実際に要した費用から実際原価を自動計算
  • 個別原価計算、部分原価計算など多様な原価計算が可能

差異分析を効率化

原価管理システムの導入により、標準原価と実際原価の差異分析を効率化できます。システムに蓄積されたデータを活用して、差異の原因を細かく分析できます。

 

  • 標準原価と実際原価をシステムで可視化
  • 材料費、労務費、経費に分けて差異の要因を分析
  • 製品・サービス別の差異分析が可能

費用配賦を効率化

原価管理システムには、費用配賦を管理する機能が備わります。配賦ルールの設定から計算まで、システム上で効率的に行うことができます。

 

  • 配賦ルールや基準値をシステムに設定
  • 自社に適した配賦基準や配賦方法を設定できる
  • 複雑な配賦ルートの設定も可能

原価シミュレーションを効率化

原価管理システムには、将来の原価変動をシミュレーションする機能が備わります。さまざまな条件で試算を行い、原価変動リスクに備えることができます。

 

  • 変動値を設定してシミュレーション
  • 価格変動や工程変更などを踏まえたシミュレーションが可能

原価管理システムの導入で得られる効果

原価管理システムの導入で得られる効果

 

原価管理システムを導入することで、次のメリット・効果が期待できます。

管理精度向上により収益の安定化に貢献

精度の高い原価管理を行うには、データ収集や複雑な計算が必要になるため、手作業で行うのは容易ではありません。また、Excelへの手入力ではミスが起きる可能性もあります。原価管理システムを導入すれば、データ取得から計算、分析、シミュレーションまで効率化できます。原価変動リスクへの対策も取りやすくなるなど、収益の安定化に貢献します。

業務効率化による人件費削減

原価管理は負荷の大きい業務です。原価を算出するための計算は複雑で、製品によって計算方法を変えたり、変動原価を割り出したりと、多種類の計算を行わなければなりません。Excelでこれら作業を行えば膨大な時間がかかるため、人件費がかさみがちです。

 

原価管理システムを利用すれば、データ取得から計算まで自動化できるため、業務が効率化され、原価管理に割く時間が短縮されて人件費削減につながります。

分析速度向上により素早い経営判断が可能に

原価管理は手間がかかるうえ、海外生産を行っている場合は為替変動も視野に入れる必要があります。しかし、Excelなどを使って手作業で管理している環境では、素早い分析・判断は困難です。

 

原価管理システムを利用することで、リアルタイムでの原価情報の把握が可能になります。計算・分析速度が向上するため、短時間での情報可視化が可能となり、素早い経営判断ができるようになります。

原価管理システムの機能一覧

原価管理システムの機能一覧

 

原価管理システムの機能を以下にまとめました。ただし、搭載されている機能はシステムによって異なるため、事前に確認してください。

 

機能

特徴

データ収集機能

・各種基幹システムからデータインポート

・ERPからデータインポート

・Excelファイルをインポート

・CSVファイルをインポート

原価計算機能

・標準原価を計算

・見積原価を計算

・実際原価を計算

・全部原価計算と部分原価計算(直接原価計算)に対応

・個別原価計算と総合原価計算に対応

分析機能

・標準原価と実際原価の差異を分析

・差異の原因をドリルダウン分析

・損益分岐点を分析(CVP分析)

・限界利益を分析

費用配賦機能

・費用配賦ルートを設定

・配賦基準を設定

・階梯式配賦や相互配賦など多段階の費用配賦を設定できる

シミュレーション機能

・多様な条件での原価変動シミュレーションが可能

・市場変動による原価への影響をシミュレーション

・製造工程変更による原価変動をシミュレーション

・原料配合変更による原価変動をシミュレーション

・配賦基準変更による原価変動をシミュレーション

※上記は一例であり、シミュレーションできる要素はシステムにより異なる

連携機能

・会計システムと連携

・生産管理システムと連携

・販売管理システムと連携

・在庫管理システムと連携

・ERPと連携

原価管理システムで業務を改善しよう

長期的に利益を生み出せる体制づくりに、原価管理システムは貢献します。収益安定化、情報の可視化、コスト削減など多彩なメリットを持つ原価管理システムは、導入価値の高いサービスです。ただし、サービス選定は慎重に行ってください。機能や外部システムとの連携性などを比較して、自社に適するシステムを選ぶことが肝要です。

 

以下の記事も参考にしてください。

原価管理システムの比較方法|選定ポイントと導入時の注意点