顧客の疑問解消や、オペレーターのナレッジ共有に役立つFAQシステム(FAQツール)。顧客満足度の向上や人件費削減などの導入メリットを持ちます。しかし、多様な機能が提供されているため、自社に適したFAQシステムの選定は容易ではありません。ここでは、企業がFAQシステムを選ぶ際に押さえておきたい比較選定ポイントと導入時の注意点を解説します。

また、導入実績の多い代表的なFAQシステムをご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

FAQシステムの比較方法・選び方

FAQシステムを比較選定する際のポイント

FAQシステムを比較選定する際のポイント

 

FAQシステムを選ぶ際のポイントは、次の4つです。

 

■システムのタイプを決める

FAQシステムには役割の異なる3種類があり、ニーズによって選ぶべきタイプが変わります。

 

  • 一般ユーザー向けに商品・サービスのFAQを公開するタイプ
  • コールセンターで商品・サービスのFAQ参照に用いるタイプ
  • 社員用に業務関連のFAQを公開するタイプ

 

一般ユーザー向けとコールセンター用のFAQシステムは、自社のサービス向上に役立ちます。顧客が困りごとを自己解決できるようにしたいなら一般ユーザー向けのシステム、オペレーターの応対能力を高めたいならコールセンター用のシステムが必要となるでしょう。

 

社内ヘルプデスクの負荷軽減をシステム導入目的とするなら、社員用のFAQシステムが必要になります。以上のように、FAQシステムの選定は導入目的に合わせて行うことが肝要です。上記3タイプの機能を兼ねるシステムもあるので、自社のニーズに合うサービスを選んでください。

 

■導入方式を決める

FAQシステムの導入方式には、自社サーバーでシステムを運用するオンプレミス型と、インターネット上のシステムを使うクラウド型の2つがあります。それぞれの特徴を押さえて、自社に適する導入方式を決定しましょう。

 

  • オンプレミス型
    カスタマイズ性が高く、自社の環境に合わせたシステム構築ができます。サイバー攻撃に対するセキュリティ性の高さもオンプレミス型のメリットです。この反面、オンプレミス型は初期費用が高額な上に、運用開始後は保守費用やライセンス費用にもコストがかかります。
  • クラウド型
    現在はクラウド型がFAQシステムの主流となっています。サーバー構築が不要なため比較的安価に導入でき、かつメンテナンスフリーで利用できます。ただし、カスタマイズ性はオンプレミス型に劣ります。セキュリティ対策がベンダー任せになる点も、クラウド型のデメリットとして押さえておきましょう。

 

■機能を比較する

機能の充実度により、FAQシステムの使い勝手は大きく変わります。次のポイントを参考にして、自社に必要な機能が備わるシステムを選び出してください。

 

  • HTMLの知識なしでFAQを作成・編集できるか
  • 効率的にFAQやナレッジを登録できるか(文書クローリング・CSVインポートなどが備わっているか)
  • 高度な検索機能が備わっているか(キーワード補正・関連FAQ表示など)
  • レポート・分析機能は充実しているか(閲覧数レポート・離脱ポイント分析など)
  • 多言語でのFAQ画面表示は可能か

 

上記のほか、コールセンター用のFAQシステムを選ぶ際は、オペレーター用機能の充実度もチェックしましょう。オペレーターがFAQを作成・編集できる機能や、使用者別に画面をカスタマイズできる機能などが備わっていると便利です。

 

■コストを比較する

FAQシステムの利用コストは、サービスごとに大きく異なります。料金体系や相場費用を押さえて、無理なく運用できるサービスを選定しましょう。

 

オンプレミス型システムの初期費用(ライセンス料)は数十万〜数百万円と、サービスにより幅があります。年間ライセンス料のほかに月額料金がかかるシステムもあるため、維持費も含めた入念なコスト比較をしましょう。

 

クラウド型システムの初期費用も、サービスごとに大きな差があります。料金体系には定額制と従量課金制があり、PV数やFAQ数、ユーザー数などが料金を決める要素となります。各要素の相場費用は次のとおりです。

 

  • 1PVあたり:1〜15円前後
  • ユーザー1人あたり:数千〜20,000円前後
  • FAQ1つあたり:500円前後

 

月額費用の中央値は30万円前後、安価なサービスであれば月額10万円以下から利用できるものもあります。

課題・ニーズ別に見たFAQシステムの向き・不向きの傾向

課題・ニーズ別に見たFAQシステムの向き・不向きの傾向

 

自社の要望や課題に応じて、利用に適するFAQシステムのタイプが変わります。次の表を参考にして、自社にはどのようなタイプのシステムが向くのか検討してください。

 

要望・課題

向き・不向きの傾向

時期によってオペレーター数が大きく変動する

・従量課金制のコールセンター用クラウド型システムであれば、閑散期は料金が安くなる。

・柔軟にプラン変更できる定額制クラウド型システムも検討するとよい

・オンプレミス型は閑散期に保守費用や月額料金が割高になるため要注意。

スモールスタートしたい

・従量課金制のクラウド型システムは、導入サイトや導入コールセンターを絞ることで安価に利用開始できる。

・リーズナブルなエントリープランを選べる定額制クラウド型システムも検討するとよい

社内の業務効率化に活用したい

・自社で扱っているCRMとの連携や、FAQ作成・運用の機能が充実しているサービスが適している

運用がうまくいくか不安

・運用ノウハウの提供やサポート体制が充実しているサービスを選ぶ

FAQシステムの導入時に注意すべき点

FAQシステムの導入時に注意すべき点

 

FAQシステムの導入メリットを得るには、定期的な効果測定と、FAQのメンテナンスを繰り返す必要があります。このため、システム導入に際しては、導入効果についての評価軸を定めなければなりません。具体的には、システム導入効果に関するKPIとKGIを定める必要があります。FAQシステムのKPIとしてよく設定されるのは、次のような要素です。

 

  • FAQページのアクセス数
  • FAQ検索後の閲覧率
  • FAQ検索結果が0件になった割合(0件ヒット率)
  • ユーザーによるFAQページ・コールセンターの評価(アンケート評価)

 

FAQシステムのKGIには、次のようなものが設定されます。

 

  • 電話問い合わせ数や応対時間の減少
  • コールセンターのコスト削減
  • 顧客満足度の向上

 

上記のような評価軸を定め、FAQのブラッシュアップを続けることにより、FAQシステムの費用対効果はアップします。システムを導入しただけで満足しないように、評価軸設定と、FAQ改良の体制づくりには力を入れましょう。

FAQシステムを有効活用しよう

FAQシステムは直接的に利益を生むツールではありません。コストに見合ったメリットを得られるように、サービス選定は慎重に進めましょう。機能と費用を入念に比較して、自社にマッチするシステムを選ぶことが肝要です。サービス導入フェーズでは、評価軸設定や運用体制づくりに注力することも必要です。以上を踏まえて、具体的なサービス選定に進んでください。

FAQシステム 5選

1.Zoho Desk

(参照元:https://www.zoho.com/jp/desk/)

[service_id:1930]

 

導入した企業の声

株式会社グレッジ カスタマーサポート部門 主任 篠原 大洋様 カスタマーサポート部門 課長 友保 彩里様:

導入目的は、顧客管理に複数のツールや用いていたが、管理が複雑化しデータの抽出や顧客管理が煩雑になっていたため。Zoho Deskを活用することで、個人で受けた問い合わせも全体で共有できるようになり、進捗状況をすぐに確認できるようになりました。

 

2.sAI Search

(参照元:https://saichat.jp/saisearch/)

サービス名

sAI Search

キャッチフレーズ

AI搭載のFAQシステム

サービス概要

sAI Search(サイサーチ)はユーザーの疑問をAIが先回りして予測する、全く新しいFAQ検索システムです。

【特徴】
・検索せずに回答が見つかる独自AI搭載
・導入したその日から、すぐに利用可能
・目的毎に最適化された形で提供
(参照元:株式会社サイシードHP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・テキスト文での質問
・回答候補のサジェスト表示
・回答文のシナリオ分岐
・カテゴリ一覧の表示
・よく聞かれる質問一覧
・タグサジェスト検索
・絞り込み検索
・回答文への画像やファイルの挿入
・sAI Searchカラーの設定
・テンプレート文言の設定
・起動ボタンデザイン設定
・アイコン・画像検索
・対応履歴チケット一覧
・グラフィカルレポート
・管理画面からのFAQ編集
・CSVでのFAQ編集
・単語の重み調整
・回答精度の一括テスト
・最近追加したスクリプト
・SVへの申し送り

価格

・ウィンドウ型  150,000円 / 月額(初期費用50万円)
・サーチボックス型  150,000円 / 月額(初期費用50万円)
・顧客向けページ型  1,000,000円 / 月額(初期費用25万円)
・社内向けページ型  800,000円 / 月額(初期費用20万円)
・コールセンター型  800,000円 / 月額(初期費用20万円)

運営企業

株式会社サイシード

サービス詳細

sAI Searchの詳細を見る

 

3.OKBIZ. for FAQ

(参照元:https://www.techvan.co.jp/solution/system/okbizfaq/)

サービス名

OKBIZ. for FAQ

キャッチフレーズ

メガバンク3行が横並びで採用する

サービス概要

≪FAQ作成・公開・分析を1つのプラットフォームで実現するFAQソリューションです≫
メガバンク3行が採用するFAQサイト構築ツール。
OKBIZ.認定資格(セールススペシャリスト、アドミニストレーター、デリバリーパートナー)を持った専門家が、お客様の新規システムに合わせたFAQをご提案いたします。
従業員からの各種問い合わせに対応する社内ヘルプデスク業務から、お客様からの問い合わせに対応するBtoC向けサポートまで、さまざまな問い合わせの形に対応できます。
【特徴】
・日本語に強い検索エンジン
・会話型FAQ
・FAQ改善に特化:レポート機能
(参照元:テクバン株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・日本語に強い検索エンジン
・レポート機能

価格

・価格はお問合せください
・初期費用  1,300,000円 / 初期費用
・月額  100,000円 / 月

運営企業

テクバン株式会社

サービス詳細

OKBIZ. for FAQの詳細を見る

 

4.SyncAnswer

(参照元:https://www.syncanswer.jp/)

サービス名

SyncAnswer

キャッチフレーズ

ブログ感覚でFAQの作成・公開が可能に

サービス概要

≪コンタクトセンターにお客様から電話やメールで寄せられる『よくある問い合わせ』と『その回答』を FAQ(Q&A)として簡単に作成できるクラウドサービスです。≫
FAQを充実させることで、コンタクトセンターの電話応答率を改善するだけでなく、アクセス分析によりFAQの利用状況を「見える化」できるので、お客様の声やニーズを理解しコンタクトセンターの収益部門への進化をサポートします。
【特徴】
・ブログ感覚でFAQの作成・公開が可能に。
・お客様の見えない声が「見えて」くるアクセス管理機能:PV数、訪問者数、検索数を確認できます。
(参照元:株式会社SyncThoughtHP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・【FAQの作成】
・【FAQの公開】
・【FAQの分析】

価格

・価格はお問合せください
・エディション価格:エントリー≪月額費用≫  50,000円 / 月
・エディション価格:スタンダード≪月額費用≫  100,000円 / 月
・エディション価格:プロフェッショナル≪月額費用≫  200,000円 / 月

運営企業

株式会社SyncThought

サービス詳細

SyncAnswerの詳細を見る

 

5.ナレッジリング

(参照元:https://faq-system.com/)

サービス名

ナレッジリング

キャッチフレーズ

ナレッジ共有を促進するクラウドFAQシステム

サービス概要

社内に蓄積された様々な“ナレッジ”を一元管理し有効活用できるクラウドFAQシステムです。
いつでも・どこでも・誰でもカンタンにご利用いただけて、低価格でありながら高機能なサービスでナレッジ共有を促進し業務改革を実現します。

【選ばれる理由】
・ファイル内全文検索でビジネス文書もラクラク見つかる!
・月額9,800円+120円/人。高いコストパフォーマンスを発揮。
・SLA(サービス品質保証制度)があるから“もしも”の時も安心!


{参照元:株式会社CBIT ホームページ}

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・検索機能 (共通)
・検索サジェスト機能 (公開ページ)
・コミュニティ機能 (公開ページ)
・お知らせ機能 (公開ページ)
・プッシュ通知機能 (公開ページ)

価格

・フリープラン  0円 / 初期費用・ 月額基本料金 無料
・SaaSプラン  9,800円 / 月額基本料金(税別)
・ASPプラン  50,000円 / 月額基本料金(税別)
・公開FAQプラン  50,000円 / 月額基本料金(税別)
・AIチャットボットプラン  100,000円 / 月額基本料金(税別)

運営企業

株式会社CBIT

サービス詳細

ナレッジリングの詳細を見る